悪女について
という本が好き。
で、数ヶ月おきに読み返してしまう。
ある日、自分のビルで不可解な死を遂げた女実業家。
彼女について周りの人々に話を聞くと、それぞれが全く違う印象を持っていることがわかる。
大金を巻き上げられた者、偽物の宝石を売りつけられた者、
最後まで自分だけが彼女の男だと信じて疑わなかった者が複数人いたり。
生涯かけて嘘を突き通した「悪女」。
でも私はなぜか彼女のことが好きなのだ。
こうなるに至った幼い頃の劣等感と、それをはねのけるために誰も信じることなく生き抜いた彼女。
確かに悪女なんだけど、とても純粋な人だと思う。
彼女の世界の中では全て正義だっただろうし、
誰も傷つかない方法を選んでいたのかも知れない。
全編通して周りの人のインタビューだけで構成されていて、
インタビューしている側の事情も心情も書かれておらず、
本人の本心や種明かしも一切出てこない。
想像力をフルに使いながら読める本です。
有吉佐和子さんの書く生々しい女性像、
私はまた数ヶ月後に会いに行きたいと思います。